”発酵食品蔵”について
先日、新聞やテレビのメディアさんからの報道後、お客様やお取引様からお問い合わせ多数頂いております。その件について少しこちらで補足などさせて頂きます。
●2022年秋、発酵食品蔵完成
すでにご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、成龍酒造では昨年秋に”新蔵”が完成しました。もうすでに稼働し始めておりますが、実は日本酒製造ではなく、”発酵食品蔵”という名称で食品を製造する工場となっています。
●酒粕漬の需要向上
時を遡ればずいぶん前ですが、今は亡き会長が健在だった頃から、いやその前の先代からなのか、我が家では長々と日本酒製造の副産物「酒粕」を使ってお野菜の粕漬けを毎年作っていました。数年前までは自宅用と地元販売用にと”細々”と製造するだけだたのですが、最近ではお客様のご要望も重なり、全国の特約酒販店様へも発送するようになり、近年製造量も多くなってまいりました。
●大きな分岐点、改正食品衛生法施行
時を同じくして、2021年6月に施行された「改正食品衛生法」で漬物製造業でも営業許可の取得が必要になり、衛生基準も従来より厳しくなりました。これにより代々続けてきた漬物製造をするには、これまでの設備では不十分で新たな設備投資をしないと、継続が難しいという局面に立たされたのでした。「代々灯してきた漬物製造の火を絶やしてはいけない」、という事で満を辞して、”発酵食品蔵新設”という舵をきらせて頂きました。
●もう1つの夢、味噌作り
ただ今回この新蔵新設にあたって、漬物製造だけでなくもう1つ、大きなプロジェクトを密かに計画していました。それが今回新聞やテレビなどのメディアさんでも報じられた通り「味噌作り」だったのです。実は我が家では昔から漬物以外にもいろいろと自家製で作っているモノがたくさんあり、味噌もその1つでした。ただ通常の味噌とは異なり日本酒蔵という特殊な環境が功を奏したのか、米麹や酒粕を使った味噌が我が家の定番だったのです。
●2023年5月、製造方法”特許”認可
いつかは商品化したいなと考えていた矢先、調べていくとその製造過程などかなり特殊で日本全国津々浦々、このような商品はないという事で、特許申請を工場建設と並行して行っていました。そしてこの度2023年5月、晴れて製造方法の”特許認可”を受けた事もあり、こうしてメディアさんへの情報解禁となったのです。実際に製造していくのは蔵女将を中心とした酒蔵女性スタッフです。すでに味噌製造も行っていますが、正式に発売開始するのはもう少し時間がかかりますので、2024年以降となりそうです。メディアさんの報道後、販売の可否に関するお問い合わせを多々頂いておりますが、皆様もうしばらくお待ちいただけますと幸いです。
●世界に誇る日本の発酵文化を皆様に。
こうした新たなプロジェクトの構想は、実は今に始まったわけではなく、もう何年も前から抱いていました。数年間のコロナ禍を経て、一気にその大きな目標や夢が前に動き出した感はあります。日本が世界に誇る”発酵”という文化を、微力ながら私たちも後世に残していかなければいけないという大きな使命感を常に持っています。日本酒醸造にますます注力をしていく一方で、こうした新たな発酵食品分野での取組みを通じて、成龍酒造に関わってくださる多くの方に、たくさんの笑顔が増える事を願っています。
発酵食品蔵では今後様々な分野の商品開発を行い、皆様に発酵の面白さや魅力をお届けできればと思っています。小蔵の大きな夢に向かって日々前に歩みを進めてまいります。どうか温かくお見守り頂けますと幸いです。
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